砂の城:荻原浩
会社を解雇され、離婚をし、家もなくなった男が行き着いた先はホームレス。
彼は、公園で寝泊まりするようになりますが、そのうちに、公園の隅でいつも占いをしている男に話しかけるようになり、占いの客引きを始めます。
その公園には、もう一人、いつも寝ている男前の大男がいます。
占い師とホームレスの大男、この二人を仲間に誘って、男が考えたのは宗教を立ち上げることだった…。
前半は、ホームレス生活の厳しさ、食事にありつけたときのありがたさ、そして宗教を立ち上げるために一獲千金を狙い、すったもんだがあって宗教活動を始めます。
一つ一つ計画を慎重に実行して、信者を獲得して徐々に噂を広めて拡大していく様はサクセスストーリーを見ているようです。
結局は、小手先のトリックを使って相手をだましているようなものですが、一度社会のどん底を見てしまった男は、ホームレスにまで身をやつさなければならなかった社会に反撃するとばかりに快進撃を続けます。
徐々に宗教活動が拡大していく様は、なんだか爽快なものを感じます。そして読み進めるうちに、彼の行く末が心配になってきます。
だんだん、心配事なども増えていき、お金は満たされているのに心は満たされなくなっていきます。
せめて、最後は幸せな結末になってほしいなと願いながら読んでしまいました。
サスペンスでもないし、コメディでもなく、不思議なジャンルの本だなと思いました。
ストーリーはとても面白かったです。
関連記事
殺人鬼フジコの衝動:真梨幸子
サスペンス物を読むのが楽しくなってたどり着いてしまった一冊、それが「殺人鬼フジコの衝動」でした。 この本、だいぶ胸糞悪くなる描写が多いです。 とにかくフジコの生い立ちが酷いし、学校でのいじめも酷いです…続きを読む
さまよう刃:東野圭吾
東野圭吾はガリレオシリーズや新参者シリーズなど、テレビや映画化もされた人気作品を多くもつ、言わずと知れた超有名作家なので、もうテレビで見たことあるし、後回しでよいか、などと勝手に思っていて読んでいなか…続きを読む
深夜特急:沢木耕太郎
深夜特急は、1986年に発行された旅行エッセイです。 著者の沢木耕太郎は、26歳のときに急に思い立って、アジアを超えてロンドンに向かうという壮大な旅を無計画に行います。 文庫本全6巻にまとめられていま…続きを読む
あんじゅう―三島屋変調百物語事続:宮部みゆき
「あんじゅう―三島屋変調百物語事続」は、三島屋変調百物語シリーズの第2巻です。 主人公おちかが、この世ならざるものの仕業と思われる体験をした人たちから、その不可思議な話を聞く、というストーリーです。 …続きを読む
震える岩 霊験お初捕物控:宮部みゆき
わたしは、いわゆる時代物と呼ばれる、江戸時代など過去の時代背景を題材にした本を割と読みます。 以前は藤沢周平ばかりを読んでおり、その世界観や必殺技などに魅せられていました。では次に誰の時代物を読もう?…続きを読む
黒祠の島:小野不由美
黒祠とは、明治時代の祭政一致政策の折に様々な神を統合して再編成しようとした際に、統合を免れて、その地域で独自の宗教となったものを意味します。黒祠=邪教というとらえられ方もします。 そのような独自の宗教…続きを読む
ブレイブ・ストーリー上中下:宮部みゆき
小学生低学年から中学年にかけての子どもに、本を読んでほしいと願う家庭で起こる問題の一つが、「かいけつゾロリから抜け出せない問題」だそうです。 いかにゾロリが偉大であるかの裏付けでもあるこの問題、本を自…続きを読む
連続殺人鬼カエル男:中山七里
数年前に動画配信サイトの無料枠で「連続殺人鬼カエル男」というドラマが配信されていました。 そのときに興味がわいたものの、結局見ないでそのままにしてしまいました。 それからしばらくして、その原作が小説と…続きを読む
季節のない街:山本周五郎
山本周五郎がたまたま目に入ったので、手に取ってみたのが「季節のない街」でした。 ドラマや映画の原作に取り上げられている作家なのできっと面白いのだろうという感じで軽い気持ちで選びました。 内容としては、…続きを読む
13階段:高野和明
「13階段」は映画にもなった有名な小説です。サスペンス物ということで読んでみました。 主人公は過去に不慮の事故で相手を死に至らしめてしまった、三上という青年です。彼は刑務官の南郷に誘われて、死刑囚の冤…続きを読む