あんじゅう―三島屋変調百物語事続:宮部みゆき
「あんじゅう―三島屋変調百物語事続」は、三島屋変調百物語シリーズの第2巻です。
主人公おちかが、この世ならざるものの仕業と思われる体験をした人たちから、その不可思議な話を聞く、というストーリーです。
内容は、短編集のようなもので、1冊に4~5話の話が含まれています。
1巻で自分の過去と向き合ったおちかは、2巻では神様に憑依された子、祖母の怨霊に取りつかれた家、といった不可思議な体験をもつ人々を迎え入れ、話を聞きます。
もともと、気持ちがふさぎ気味だったおちかが興味を示すだろうということで始まった百物語の聞き手役という役目なので、何かを解決するわけではありません。
ただ、不思議な話を聞くだけ、というものなのです。
おちかのセラピーのようなものなので、話たければ聞きますよ、というスタンスではあるのですが、そこに、誰に話しても信じてもらえないので、ということで話をしに来る人がいる、という設定です。
もちろん、ただ話を聞いているだけではありません。
ときには、聞き終えた後に、話者本人を家に招き入れて生活をしてみたり、関係者から話を聞いてみたりと、毎話趣を変えながら進めていくため、読み手を飽きさせない工夫がされているのだなと感じます。
今回は、一話ごとに怖い話と優しい話が交互に出てくるという構成になっていて、それも面白く感じる点だったと思います。
おちかは100の話を聞くまでこの趣向を続けるという約束でいるのですが、このシリーズ自体は7巻で終わりを迎えます。
最後はどういう結末になるのか、それを予見させる登場人物が本巻には登場します。
こうしてレギュラーメンバーが増えていき、作品が生き生きとしてくるというのが、宮部みゆきの真骨頂ではないかと思います。
最後の巻まで読み進めようと思います。
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