母性:湊かなえ
「母性」というタイトルの映画が上映されるということを以前に知り、それ以来、原作の母性を読んでみようと思っていました。
話は、自分の母親のことが大好きで、いつまでも子供として母親にかわいがられていたいと思っている母と、その母に愛情を注いでもらいたいのにもらえず、どうすればよいか葛藤している娘という2人の回想を中心に進んでいきます。
ところが、それは母ないしは娘の目から見て感じたことを主体的に語っているため、勘違いや思い込みがちりばめられています。
母の回想と娘の回想がそれぞれ少しずつ食い違っていることから読者は気づかされていく、というつくりになっています。
このようなタイプの話は、感情移入して読もうとしてしまう私のような人にとっては、だまされやすく、途中までは実際に起こった真実として語っているものと考えていました。しかし、途中からこれはどちらか(または二人とも)が自分の都合の良いように解釈しているのだな、ということがわかってきます。
母親はこう思っていたけれど、娘はこう思っていた。
この時母親はこういう理由で行動したけれど、娘は別の理由で行動していた。
など、主に、母親は娘のことを忌み嫌っており、娘はけなげにも母親に気に入られたいと思っているのですが、すれ違ってばかりでうまくいきません。そして娘は追い詰められていきます。
途中までは思い込みの強い母親の一方的な言い分を聞かされているだけのような気がして、面白く感じませんでしたが、後半にかけて、一方の主張の後にもう一方の主張で訂正していく感じで読んでいくと面白くなり、一気に読み進めてしまいました。
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