さかなのこ(映画)
さかなクンの自伝「さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生! 」を元に映画化したものが「さかなのこ」です。
最初、映画館の広告でこれをみたときに、おもしろそうだなと思いました。
短期間に再び映画館に行く機会があり、またもやこの広告をみたときに、「次はこれをみたいな」と思っていました。
そして、子供をたきつけて家族で見に行きました。
主演の、のんはとても明るくまっすぐで興味のあることには一途というキャラクター「さかなクン」を演じましたが、これがとにかくはまり役。
周りを固める俳優陣もとてもよく、中でも母親役の井川遥、親友の柳楽優弥などとてもよい味を出していました。
ストーリーはフィクションを交えつつコメディタッチにさかなクンの半生を描いています。
冒頭、タコをつかまえたさかなクンことミー坊、父親にそれを渡すとその場で叩き潰して食べてしまう衝撃のシーンがあります。これは事実らしいです。
その後、地元のヤンキーたちとすったもんだがあり、仲良くなっていき、やがてヤンキーたちは卒業して大人になっていくけれど、ミー坊だけは変わらず好きなことを追い続けています。
そんなさかなクンは好きなことだけをしていたため勉強はからっきしだったとか。
それでも母親は心配するそぶりも見せず、「これでいい」と応援し続けました。
こうして好きなことだけをつづけたさかなクンは、大学の客員教授や名誉博士にまでなります(ここまでは映画にはなっていませんが)。
まさに好きこそものの上手なれを体現しています。
さかなクンは、成功したけれど、さかなクンが言いたいことは、好きなことを追い続けていれば、失敗もするかもしれないけれど、そこからきっと何かが得られる、ということのようです。
この映画を、最初は子供のためになる映画かなと思って見に行きましたが、むしろ親に訴えかけている映画ではないかと思いました。
子供が本当に興味のあることがあれば、それを見守ってやるのが親の務めである、というような。
子供をもっと信じましょう、というメッセージとも受け取れます。
誰もが同じ進路を選択しなくてもいい、本人が納得して一度しかない人生を生きていけることが幸せなことなんだなと思いました。
最後に、個人的にグッと来たのは、柳楽優弥演じる親友ヒヨとその彼女(島崎遥香)と、ミー坊(さかなクン)の3人でレストランで食事をするシーンです。ここでミー坊のことを笑ってしまう彼女に嫌気がさしたヒヨは、次のシーンで彼女を先に帰してしまい、ヒヨとミー坊の二人で食事をします。このシーンでウルッと来てしまいました。ヒヨ、おまえいいやつだな!!ってなります。
2時間半の長丁場の映画ですが、見た後は幸せな気分になるいい映画でした。
間違いなくお勧めです。
関連記事
パラドックス13:東野圭吾
ある日、地球上に何が起こるかわからない異変が迫ります。 それは13秒間だけ起こる異変で、その間には極力危険なことはしないように、というお達しが警察になされます。 しかし、その13秒間に犯人を追っていた…続きを読む
死刑にいたる病:櫛木理宇
前に、「死刑にいたる病」という映画が公開されるというCM(現在は既に公開は終わっています)を見たので、原作本を読んでみました。 死刑判決を受けた連続殺人犯が、一件だけ自分の罪ではない、ということで、そ…続きを読む
ソロモンの偽証:宮部みゆき
映画化されてもいるし、前からあるなとは思っていたけれど、3部作(文庫本だと6冊)のため長いからなかなか手を出せずにいた、ソロモンの偽証を読んでみました。 映画も見たことはないのですが、あらすじで学校内…続きを読む
ワンダー:R・J・パラシオ
初夏に本屋に行くと、若年層のコーナーには、夏休みの読書感想文用に推薦図書が並びます。 ワンダーはその中に、5・6年生用ということで置かれていました。 全く内容は知らなかったのですが、表紙が気になって少…続きを読む
季節のない街:山本周五郎
山本周五郎がたまたま目に入ったので、手に取ってみたのが「季節のない街」でした。 ドラマや映画の原作に取り上げられている作家なのできっと面白いのだろうという感じで軽い気持ちで選びました。 内容としては、…続きを読む
55歳からのハローライフ:村上龍
サスペンス続きだったので、別の話を、と思い手に取ったのが「55歳からのハローライフ」です。 定年を前に仕事を辞めた人、仕事をなくした人たちの、これからどうしようか、という困惑とそこから前向きになる過程…続きを読む
震える岩 霊験お初捕物控:宮部みゆき
わたしは、いわゆる時代物と呼ばれる、江戸時代など過去の時代背景を題材にした本を割と読みます。 以前は藤沢周平ばかりを読んでおり、その世界観や必殺技などに魅せられていました。では次に誰の時代物を読もう?…続きを読む
つけびの村:高橋ユキ
2013年に山口県周南市で発生した、山口連続放火殺人事件の真相を知るべく取材した内容をルポとしてまとめたものです。著者は、裁判の傍聴マニアで、それが高じてルポを書くようになり、フリーライターとして活動…続きを読む
まっしょうめん!:あさだりん
わたしの息子が剣道をやってみたいということで道場に通い始めました。 といってもいつまで続くかわからないので、まずは竹刀だけ買って習わせています。 竹刀は消耗品のため、特に小学生用などは2000円程度で…続きを読む
連続殺人鬼カエル男:中山七里
数年前に動画配信サイトの無料枠で「連続殺人鬼カエル男」というドラマが配信されていました。 そのときに興味がわいたものの、結局見ないでそのままにしてしまいました。 それからしばらくして、その原作が小説と…続きを読む