季節のない街:山本周五郎
山本周五郎がたまたま目に入ったので、手に取ってみたのが「季節のない街」でした。
ドラマや映画の原作に取り上げられている作家なのできっと面白いのだろうという感じで軽い気持ちで選びました。
内容としては、ある下町の人たちの生活ぶりを描写した短編集です。
そこに住んでいる人たちが貧乏をしていたり身体が不自由であったりするのですが、その中で送っている日常生活を読むことで、まるでそこに自分も住んでいるかのような錯覚に陥ります。
実際、そういう部分が絶賛されているポイントのようですが、私ははっきりとした目的があり、それに向かって話が二転三転しながら突き進んでいき、解決する、というようなわかりやすいストーリー展開が好きであるため、このような明確なオチがなく、日常生活を垣間見る系統の話は面白いとは感じませんでした。
それでも最後まで読み進めることができたのは、著者の文章に無駄がなく、読みやすさや表現が秀逸であることを示しているのだと思います。
山本周五郎といえば、辞退しているものの、数々の賞に選ばれる作家であるため、その内容は好きな人が読めばのめり込めることは間違いないと思います。
単純に私には合わなかった、ということのようです。
関連記事
ワンダー:R・J・パラシオ
初夏に本屋に行くと、若年層のコーナーには、夏休みの読書感想文用に推薦図書が並びます。 ワンダーはその中に、5・6年生用ということで置かれていました。 全く内容は知らなかったのですが、表紙が気になって少…続きを読む
青の炎:貴志祐介
「青の炎」はミステリー小説ですが、その中でも「倒叙ミステリー」と呼ばれるジャンルのミステリー小説です。 主人公は高校生の櫛森秀一。 彼は高校生活を楽しむ普通の学生でしたが、あるとき急に家に離婚した元父…続きを読む
おまえさん(上・下):宮部みゆき
宮部みゆきの本は好きで、いろんなシリーズを読んできました。 そこで感じたのは、宮部みゆきの話には、物語パートのほかに、調べた物事を説明するパートがあるように思います。 金融の話であれば、詳しくどうなっ…続きを読む
連続殺人鬼カエル男:中山七里
数年前に動画配信サイトの無料枠で「連続殺人鬼カエル男」というドラマが配信されていました。 そのときに興味がわいたものの、結局見ないでそのままにしてしまいました。 それからしばらくして、その原作が小説と…続きを読む
死刑にいたる病:櫛木理宇
前に、「死刑にいたる病」という映画が公開されるというCM(現在は既に公開は終わっています)を見たので、原作本を読んでみました。 死刑判決を受けた連続殺人犯が、一件だけ自分の罪ではない、ということで、そ…続きを読む
震える岩 霊験お初捕物控:宮部みゆき
わたしは、いわゆる時代物と呼ばれる、江戸時代など過去の時代背景を題材にした本を割と読みます。 以前は藤沢周平ばかりを読んでおり、その世界観や必殺技などに魅せられていました。では次に誰の時代物を読もう?…続きを読む
半落ち:横山秀夫
横山秀夫という作家の本はこれで2冊目です。 ここまで読んだ感想としては、この人の本はとても読みやすいということです。 一番最初にナゾとされている問題提起があり、そのオチに向かって突き進んでいくスタイル…続きを読む
さかなのこ(映画)
さかなクンの自伝「さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生! 」を元に映画化したものが「さかなのこ」です。 最初、映画館の広告でこれをみたときに、おもしろそうだなと思いました。 短期間に再び映画館に行…続きを読む
DC がんばれ!スーパーペット(映画)
「DC がんばれ!スーパーペット」は、ワーナーブラザーズのCGアニメ映画です。 この映画も、他の映画を見ているときに流れた広告を見て、子供が「今度はこれを見たい」といったのがきっかけで、ある暇な休日の…続きを読む
深夜特急:沢木耕太郎
深夜特急は、1986年に発行された旅行エッセイです。 著者の沢木耕太郎は、26歳のときに急に思い立って、アジアを超えてロンドンに向かうという壮大な旅を無計画に行います。 文庫本全6巻にまとめられていま…続きを読む