半落ち:横山秀夫
横山秀夫という作家の本はこれで2冊目です。
ここまで読んだ感想としては、この人の本はとても読みやすいということです。
一番最初にナゾとされている問題提起があり、そのオチに向かって突き進んでいくスタイルなので、あまりに長いとダレてしまいそうですが、そこをダレさせずに読ませる工夫が見事です。
半落ちは、現職警察官幹部 梶聡一郎が、アルツハイマーの妻に頼まれ、自ら首を絞めて殺してしまったと自首してくるところから始まります。
しかし、妻を扼殺(やくさつ)してからすぐに自首したわけではなく、空白の二日間があることがマスコミにも知られてしまい、問題となります。
この二日間に何があったのか?を探るべく、警察官、弁護士、新聞記者、裁判官、刑務官などが入れ替わり主体となって話が進んでいきます。
それぞれの章で主人公となった人たちが、梶の背景を探っていき、徐々に空白の二日間があぶり出されていきます。
その間に、それぞれの主人公たちの背景が語られ、この事件にかかわった人たちにも人生がありそれなりの問題を抱えて生きているということが分かっていきます。
このあたりの書きぶりが横山秀夫の真骨頂なのでしょうか。
最後にあっという驚きがあるかというと、「64(ロクヨン)」ほどの衝撃ではないのですが、それでも読みごたえは確かにありました。
最後まで読まないと謎は解けません。何が梶を自首させたのか、善人の目をしていると度々語られるけれど、実はとんでもない悪党だというオチではないのか、どっちなんだろうとハラハラしながら読むのも楽しい、警察物の小説でした。
関連記事
砂の城:荻原浩
会社を解雇され、離婚をし、家もなくなった男が行き着いた先はホームレス。 彼は、公園で寝泊まりするようになりますが、そのうちに、公園の隅でいつも占いをしている男に話しかけるようになり、占いの客引きを始め…続きを読む
パレートの誤算:柚月裕子
「パレートの誤算」は、NHKのドラマ化もされたということなのできっと面白いのだろうと思い読んでみました。 パレートとは、「パレートの法則」を考えたイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートの名前です。 …続きを読む
ゴジラ-1.0(映画)
ゴジラと言えば日本が誇る怪獣映画です。 多くはゴジラが現れて町を破壊するため、どうやって追い払うか、ということをテーマとして描かれるか、もう一匹別のモンスターが現れて、それをゴジラが撃退する、という話…続きを読む
13階段:高野和明
「13階段」は映画にもなった有名な小説です。サスペンス物ということで読んでみました。 主人公は過去に不慮の事故で相手を死に至らしめてしまった、三上という青年です。彼は刑務官の南郷に誘われて、死刑囚の冤…続きを読む
55歳からのハローライフ:村上龍
サスペンス続きだったので、別の話を、と思い手に取ったのが「55歳からのハローライフ」です。 定年を前に仕事を辞めた人、仕事をなくした人たちの、これからどうしようか、という困惑とそこから前向きになる過程…続きを読む
ダイイング・アイ:東野圭吾
交通事故を起こしてから記憶を一部失ってしまった主人公。 やがて自分が事故をしてしまった時のことを調べ始めます。 すると、謎の美女が主人公の前に現れます。 どうやらその美女は自分が事故で殺害してしまった…続きを読む
ひとり旅日和:秋川滝美
主人公の日和(ひより)は、24歳のOLです。性格は内気で人と会話するのが苦手、要領もよくありません。だから会社でも上司に怒られてばかり。 そんなある日、自分を採用してくれた社長から旅を薦められます。 …続きを読む
おまえさん(上・下):宮部みゆき
宮部みゆきの本は好きで、いろんなシリーズを読んできました。 そこで感じたのは、宮部みゆきの話には、物語パートのほかに、調べた物事を説明するパートがあるように思います。 金融の話であれば、詳しくどうなっ…続きを読む
つけびの村:高橋ユキ
2013年に山口県周南市で発生した、山口連続放火殺人事件の真相を知るべく取材した内容をルポとしてまとめたものです。著者は、裁判の傍聴マニアで、それが高じてルポを書くようになり、フリーライターとして活動…続きを読む
ゴーストブック おばけずかん(映画)
映画館で本編を見る前にやっている予告編を見ているときに、このゴーストブックが流れ、実写であることで面白そうだなと思い、子供に薦めて見に行ってみました。 出演に新垣結衣が出ているところも売りなのでしょう…続きを読む