さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!:さかなクン
映画「さかなのこ」を見たので、今度は原作を読んでみました。
さかなクンの半生を綴った自伝です。
こちらがほぼ実話だとするならば、映画はかなりフィクションが入っていました。映画の場合には、明らかにフィクションとわかる部分もありますが、それ以外のところでもフィクションが多く含まれていることがわかります。中には、この部分必要だったのか?と思うところもあります。
タコを捕まえたときに叩き潰したのは友達のお爺さんだし、映画で出てきたモモという女の子の存在はありません。ヤンキーとのくだりもちょっと出てきただけです。
この一魚一会では、さかなクンがどうやって今に至ったのかがわかるようになっていますが、今、これだけ成功しているのに、それを自慢するような記述は一切でてきません。
むしろ、いろいろと失敗をしながら、どうにかこうにかやってきた、そこに偶然がいろいろと重なって知名度が上がって人とのつながりができていった、ということがわかります。
カブトガニの繁殖にしても、最初は失敗して死んでしまいます。次にカブトガニを飼育するときに、偶然うまくいき卵を孵化させることができますが、結局それは大きくならなかったということも書かれています。
そういう内容なので、さかなクンの人柄がよく出ている本だと思います。
そして、好きというだけで全く努力していないかというとそうでもなく、TVチャンピオンで優勝するために、家族や地元の魚屋さんの協力を得て、目隠しで珍しい魚を食べるという特訓をしていたこともわかります。
そして、今ではイラストレーター兼海洋学者という地位を得、副題通り、毎日夢中に魚とかかわりあっているということが伝わってきます。
驚いたのが、子供が夢中になっているのであれば、否定するのではなく興味を持って接してあげてと呼びかける最後の部分です。
わたしは、魚とかそういうモノであれば興味を示したらサポートすることは親としていいだろうけど、いくら何でもTVゲームはないだろう、と思っていたのですが、さらりと「ゲーム」でも同じだということが書かれていました。
さかなクンにしてみれば、興味を持つこと自体が素晴らしいことなので、その芽を摘まずに、親子が同じことに興味を持つことが子供にとってはうれしいことなんだと言いたいのだと思います。
子供目線で書かれた、親に対する指南本なのかもしれません。
分量は割とあるのですが、字も大きいし、子供が読めるようにフリガナも振ってあり、大人ならば1日で読めてしまいます。
関連記事
死刑にいたる病:櫛木理宇
前に、「死刑にいたる病」という映画が公開されるというCM(現在は既に公開は終わっています)を見たので、原作本を読んでみました。 死刑判決を受けた連続殺人犯が、一件だけ自分の罪ではない、ということで、そ…続きを読む
64(ロクヨン):横山秀夫
「64(ロクヨン)」は、三上という県警広報官が刑事部や新聞記者たちとの板挟みにあいながら、昭和64年に起こった誘拐殺人事件に絡めた警察内で起こっている動きを追っていく、という物語で、実話がモチーフにな…続きを読む
半落ち:横山秀夫
横山秀夫という作家の本はこれで2冊目です。 ここまで読んだ感想としては、この人の本はとても読みやすいということです。 一番最初にナゾとされている問題提起があり、そのオチに向かって突き進んでいくスタイル…続きを読む
震える岩 霊験お初捕物控:宮部みゆき
わたしは、いわゆる時代物と呼ばれる、江戸時代など過去の時代背景を題材にした本を割と読みます。 以前は藤沢周平ばかりを読んでおり、その世界観や必殺技などに魅せられていました。では次に誰の時代物を読もう?…続きを読む
さまよう刃:東野圭吾
東野圭吾はガリレオシリーズや新参者シリーズなど、テレビや映画化もされた人気作品を多くもつ、言わずと知れた超有名作家なので、もうテレビで見たことあるし、後回しでよいか、などと勝手に思っていて読んでいなか…続きを読む
まっしょうめん!:あさだりん
わたしの息子が剣道をやってみたいということで道場に通い始めました。 といってもいつまで続くかわからないので、まずは竹刀だけ買って習わせています。 竹刀は消耗品のため、特に小学生用などは2000円程度で…続きを読む
仮面ライダーBLACK SUN(AMAZON PRIME VIDEOドラマ)
西島秀俊・中村倫也主演のAmazon Prime Video限定ドラマ「仮面ライダーBLACK SUN」が、2022年11月1日から放映されたので見てみました。 元は仮面ライダーBLACKという、平成…続きを読む
殺人鬼フジコの衝動:真梨幸子
サスペンス物を読むのが楽しくなってたどり着いてしまった一冊、それが「殺人鬼フジコの衝動」でした。 この本、だいぶ胸糞悪くなる描写が多いです。 とにかくフジコの生い立ちが酷いし、学校でのいじめも酷いです…続きを読む
深い河:遠藤周作
しばらくミステリー物ばかり読んでいたので、別のジャンルを読もうということになり、たまたまネットで紹介されていた旅物を読むことにしました。 そのうちの一冊として紹介されていたのが、「深い河」でした。 遠…続きを読む
ソロモンの偽証:宮部みゆき
映画化されてもいるし、前からあるなとは思っていたけれど、3部作(文庫本だと6冊)のため長いからなかなか手を出せずにいた、ソロモンの偽証を読んでみました。 映画も見たことはないのですが、あらすじで学校内…続きを読む