HOME生活感想仮面ライダーBLACK SUN(AMAZON PRIME VIDEOドラマ)

仮面ライダーBLACK SUN(AMAZON PRIME VIDEOドラマ)

西島秀俊・中村倫也主演のAmazon Prime Video限定ドラマ「仮面ライダーBLACK SUN」が、2022年11月1日から放映されたので見てみました。

元は仮面ライダーBLACKという、平成ライダーが量産されるようになる前の、最後の仮面ライダーです。
BLACK SUNとSHADOW MOONという2人のライダーが現れるというコンセプトは同じですが、ストーリーはだいぶ異なります。
また、血しぶきが飛ぶなど残酷なシーンがあるため、年齢制限もされています。確かに子供にはあまり見せられないシーンもあります。

世の中は、人間と怪人の2種類が共存する世界になっていて、怪人を差別する人たちも存在します。
そんな中、差別はよくないと声を上げる人間の少女、和泉葵。
彼女が、西島秀俊演じる南光太郎(仮面ライダーBLACK SUN)と知り合い、やがて共闘するようになる、というストーリーです。

全編ストーリーは重苦しく、BLACK SUNも禍々しくデザインされており、およそヒーローという感じではありません。
しかし、この重苦しさこそが、本来の仮面ライダーかもしれません。平成ライダーは子供受けするようにより明るくコミカルに作られていて、それはそれで楽しいのですが、やはり仮面ライダーといえば残酷な宿命を背負った孤独なヒーロー、それに尽きます。
そしてその孤独感、重苦しい雰囲気を常にまとった緊張感を、西島秀俊と中村倫也は見事に演じていると思います。熟練の演技派が演技することでより真実味が出るということでしょうか。
また、周りを固める俳優陣もよいのです。
例えば、総理大臣のルー大柴。めちゃくちゃ悪い奴です。話し方もうさん臭くてよいです。国会答弁のときには「~で、あります」という嘘くさい話し方をしますが、なんだかそれっぽいです。
例えば、今野浩喜。反怪人団体のリーダーを務めています。ことあるごとにデモを行い怪人を見つけては糾弾します。その嫌らしい口ぶりといったら…。元相方が不祥事を起こしてから俳優業に邁進していますが、とてもよい演技をすると思います。憎たらしいです。

そして、なんといっても最終話のオープニングです。
倉庫の扉をガラガラと開けるBLACK SUN。カツーン、カツーンと中に入ってくるとその先にバイク(グラスホッパー)が置いてあります。それにまたがりエンジンをふかすと、流れてくるオープニングテーマ。
そう、これは原作仮面ライダーBLACKのオープニングです。それを今のBLACK SUNで再現するという演出にはオオーッと興奮しました。しかし倉田てつおが歌っていた曲をそのまま使っていたのが、残念でした。そこも新しく取り直して、うまい歌手に歌わせてほしかったなと思います。西島秀俊でもいいんだけれど、個人的には、仮面ライダーアマゾンズの主題歌を担当した、小林次郎に歌ってほしかったです。
そういえば、人間の世界にたくさん怪人がいる、という設定はアマゾンズにも少し似ている気がしました(アマゾンズでは最初から駆除する対象として怪人が描かれていますが)。

なんだったらもっと大人っぽくして、変身ポーズもいらなかったんじゃないかなど色々思ってしまいますが、それでもすごく楽しめた大人のドラマでした。

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