馬脚を露わす(ばきゃくをあらわす)の語源
「ついに馬脚をあらわしたな!」という使われ方をするこの言葉。漠然と「正体をあらわす」「隠していたことが露呈する」という意味でとらえていましたが、馬の脚が見えることとどう関係するのか、午年なので調べてみました。
「馬脚を露わす」の語源は、中国です。中国語では、「露出馬脚来(マーチャオライ)」と書くそうです。中国が元の時代であったときに描かれた古典劇の「元曲陳州糶米」が出典とされています。この第三折に「われらの馬脚が露われたから、包待制が来たのだろう」という一文があります。
包待制とは、中国の北宋中期の政治家のことで、包拯(ほうじょう)という名前の人です。この人を役職名をつけて呼ぶときに「包待制」または「包竜図」と言いました。正義感あふれる人柄のため、戯曲や小説中では名裁判官のような存在として描かれ、正義の象徴として扱われていたそうです。悪を罰して庶民の味方をするその姿は、日本でいえば、さしずめ水戸黄門か大岡越前、といったところでしょうか(実際はそこまでの正義漢ではなかった、という話もありますが、庶民に絶大な人気を誇ったのは間違いないようです)。
話が逸れましたが、この劇中に使われたのが最初ではないか、ということです。
「馬脚を露わす」の意味
「馬脚を露わす」の意味は、「隠していたことが露わになる」ということです。これは、芝居において馬の脚の役をしている役者が、芝居中に姿を見せてしまったことに寄ります。馬を演じるとき、二人一組で、一人は前脚、一人は後脚を担当します。そして、上から馬の被り物をします。二人で演じるために息を合わせて動かなくてはなりません。しかし、呼吸が合わず後ろの人がうっかり姿を見せてしまうことがあります。ここから転じて、「隠しておきたいことが露呈してしまう」ことを意味する諺として使われるようになった、ということです。
ですから、よい意味では用いられません。「隠しておいた悪事が表に出てしまう」というような意味で使われます。
なお、日本では漢字の表記として「あらわす」という言葉には「露」という字を用いないため、「現す」と書くこともあります。
また、英語では「to reveal the trure nature」(真実を明らかにすること)と言うのが近い意味のようです。
ということで、私の認識は間違っていないことがわかりました。
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